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菅野・真庭の相続コラム

column01生前贈与 ここに注意!

相続税の節税方法として有効な生前贈与。しかし、場合によっては相続時にトラブルになる危険があります。注意を要する2つのケースを紹介します。どちらもよくある事例です。

遺産分割時にトラブルになるケース

相続税についてたとえば男二人兄弟の家庭で、長男がマンションを購入して独立したいと希望し、親が住宅取得資金を贈与したとします。住宅取得資金の贈与は一定額までは贈与税が非課税となり、かつ相続財産も減らせるので、税金対策としては非常に有効な手段です。

一方、二男はこの家で暮らしているため、住宅取得資金は必要ありません。それを理由に贈与を行わなかったとします。兄への贈与を知った弟は、当然不公平感を抱くでしょう。親たちにも長男にも悪気はもちろんありません。しかし、結果的に一部の相続人に偏った贈与をしてしまったことになります。このときの不公平感が原因で、いざ相続が発生した際に、遺産分割でもめてしまうというケースが少なくありません。

次男は、法律上「特別受益」という考え方により贈与を受けなかったわけですが、その分、相続の時点で兄より多く相続する権利を主張することが可能です。その主張によって遺産分割でもめてしまい、相続税の納税期限までに分割が整わなければ、長男も次男も遺産を取得すること自体ができなくなります。最悪の場合、裁判に発展してしまうことも考えられます。

生前贈与は、あげる側・もらう側だけで内々に行うのではなく、他の相続人にも理由を説明し、十分に納得してもらったうえで行う、あるいは遺言で他の相続人のケアをするなどの配慮を行うことが、その後の相続を円満に進める秘訣だと思います。

贈与と認められないケース

贈与は、贈与する側の「あげます」という意思と、贈与を受ける側の「もらいます」という意思の両方がないと成立しません。

親が金融機関に子供名義の預貯金口座を作り、その口座に自分のお金を移したとしましょう。その口座の通帳を親が管理しており、子供の意思でそのお金を自由に使えないような状態であるとか、そもそも子供がその口座の存在自体を知らないような状態にある場合は、贈与を行ったとは認められません。親の財産として相続税の対象になります。

このような預金を「名義預金」と呼びますが、税務調査で、相続財産の申告漏れを指摘される財産の最たるものといわれるほど、よくあるケースです。

もしも税務調査で申告漏れの指摘を受けた場合には、相続税だけでなく延滞税や加算税といった税金を余分に支払わなければなりません。節税になると思って行った贈与が結果として成立せず、余分な税金を払うことになってしまうのでは、何のための節税かわかりません。十分にご注意ください。

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